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[コメント] マンディンゴ(1975/米)

強烈な映画で事実を描いてるといって良いのだろうけど、これを見ればそれで良いのかというと産業面を補完しないといけないだろう。
t3b

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







イギリスで起こった産業革命(第2次産業)というのは大量の綿花を要するものなのでそこでアメリカの奴隷やイギリスなどの植民地のプランテーション(で働いた植民地の人々)によって無給の労働力を用いて綿花を栽培(第1次産業)し、西欧世界を発展させるというモデルがあった。

この綿花の栽培というのが今の機械を使える労働(とはいっても今もきつくない訳では無いが相対的に言えば必要な労働力が圧倒的に違う)とは違い重労働を求められる労働集約型産業である事が奴隷制と関係している。過酷な農場労働がほぼ描かれないこの映画は映画ならではの劇的な場面作りを念頭に置いているんだろう。映画として間違っちゃないけど、この映画を観るだけでは無く産業的な見地から見つめないと本質を見過ごす。この映画は暴力と差別が問題なんだけど労働は描かれない。でも産業革命から現代に繋がっていく中での問題として描けているのかっていうと・・・今でも途上国は繊維産業から勃興していくのだから。現代は奴隷制は基本的に無いし、当時と単純な比較をするのは全く違うにしても現代にまで通じる部分はある筈なのに。

オープニングで歌われるブルースという音楽ジャンルは、奴隷労働の中で歌われた霊歌より発展したジャンルでこの要素を取り入れられなかったのかと思う。

(評価:★4)

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