[コメント] 錨を上げて(1945/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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休暇中に出会った女性に大物音楽家とのオーディションを約束してしまった水兵2人組みの奔走と恋の悩みを描いたミュージカル映画。
ミュージカルとしてはかなりの上映時間を歌やダンス、演奏などに割いていて、アニメとの実写合成によるダンスシーンや何十台ものピアノでの合奏など、どのシーンもかなりスケールが大きく、これだけでも観る価値がある。
ミュージカルシーンでは、やはりジョー役のジーン・ケリーと「トムとジェリー」のジェリーが一緒に踊るアニメ合成のダンスシーンが一番の素晴らしい。特にジェリーを掴んだり、肩に乗せたりと、ジーン・ケリーは当然ながら実際には1人で踊っているのに、映像上では自然に2人で踊っているように見せてしまうところには感心してしまう。他にも今回は少女とのダンスシーンなど多彩な踊りぶりを見せていて、なかなか飽きさなかった。見所といえば彼のダンスシーンが一番の見所。
全体的にミュージカルシーンに全てをつぎ込んでいる感じでストーリーは二の次なのか、上映時間の長さの割には印象に残るシーンが少ないのが難点。
ストーリー的には、クラレンスが音楽家のホセ・イトゥルビと面識があるのを伏線にスーザンのオーディションを実現させるのかと思ったが、最後までそういった状況にならず、強引に彼とスーザンを会わせて実現させるところはちょっと拍子抜け。もっとオーディション部分のエピソードを広げて欲しかった。
また、スーザン役のキャスリン・グレイソンは確かに歌は上手いのだが、それ以上にジーン・ケリーとフランク・シナトラに見せ場を作ってしまっているので、いささか印象が弱くなってしまった感がある。それだけにラストでの歌唱シーンは本来ならクライマックスの見せ場となるはずなのに、今ひとつ素晴らしさが伝わってこなかったのが残念。
この作品はストーリーを重視すると、彼女の見せ場をもっと作るべきだったように思う。
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