コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] グーニーズ(1985/米)

多分観た時期が悪かった。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 本作を語るうえで避けて通ることが出来ないのが「子供の頃の思い出」というやつだろう。特に男の子はまさにこう言う大人のみならず、ことにあこがれる。自分の見慣れた町に秘密があって、友達と一緒に冒険の末、宝物を見つけるというシチュエーションは憧れそのもの。もちろん本当にそんなことが起こるはずもないが、子供には何より大切な想像力と言うものがある。子供の想像力にかかっては、大人が観て何と言うこともないいつもの風景が飛びっきりの冒険の舞台にもなるのだ。その部分を刺激されると、どうにも弱い。どうしても手に乗ってしまいがちになる。

 本作の巧さはそのノスタルジー部分を実にうまく刺激してくれるところにあるだろう。まさに冒険真っ最中の子どもがリアルタイムで夢見ていることが目の前で展開しているのみならず、大人にとってもこれはそそられてしまう最高のシチュエーションだ。おそらく日本では「スタンド・バイ・ミー」に次ぐノスタルジー映画の代表作ではなかろうか。これを丁度子ども時分に観たか、あるいは子どもを持って子どもたちと一緒に観ることが出来た人は幸いだろう。子供の頃にこれを観た人は、きっとこの映画に最大の楽しみを見出すことが出来るはず。ノスタルジーを刺激されると言う意味合いで本作を観るなら、大人だって楽しめることは受けあえる。

 それで私自身になるが本作が公開された1985年と言うのはおそらく本当に主体的に映画を観始めた年。少ない小遣いをやりくりして、片道小1時間ほどの電車に乗って映画観に行ったものだ。小遣いには限りがあるため、自然映画に行ける時間も限られ、2〜3カ月に一回だけ。そこで観られる映画を最大限楽しもうと心に決めて毎回わくわくしながら行ったものだが、残念なことにすでに純粋性と言うものを失っていた。小難しい映画を好む年齢に達していたこと。おそらく一番観てはいけない狭い年齢の時に本作を観てしまった。  …結果は推して知るべし。「なんだこれ」と憤慨しながら帰り、この映画の出来を聞く人みんなにネガティヴ発言を繰り返していた。今から思うと、何と言う痛い行為を。と、ちょっと嫌ぁな気持ちに陥ってしまう。

 後年、吹き替えでテレビで観ることになったわけだが、その時は確かにアラは多いものの、素直に面白い作品と思えたので、やっぱり観ていた時代が悪かったと思えてしまう。だから、他の人同様、私もこの映画にはノスタルジーを感じるのだが、あくまでネガティヴなものになってしまうのが問題。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。