[コメント] 半分人間 アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン(1986/日)
来日に合わせてあれこれ撮った感は否めず、映像の成否にもバラつきはあるが、廃工場での演奏は圧巻。耳をつんざく絶叫。ショッピングカートとのたうちまわる男。メンバー・機材(がらくた?)紹介で、地面に寝そべるブリクサの姿が印象的。(2011.10.2)
国際映画祭で『逆噴射家族』を見て気に入ったフロントマンのブリクサ・バーゲルトが当時控えていた来日公演に合わせて持ちかけたという企画。メンバーの登場するカットだけ見れば、撮影日数がそれほどなかったことはうかがえるが、実際、核になる廃工場でのライブと舞踏集団「白虎社」登場パートとは、それぞれ一日で撮られているらしい。それだけに廃工場でのライブ・シーンはバンド・プロモーション的映像とはまったく異質の緊張感にあふれている。
ただ、そういう生演奏によるドキュメンタリー的部分と、既存音源をBGMに映像が展開されるビデオクリップ的な趣向とが十分に連絡しないまま併存してしまっている感があるのが惜しまれるか(特にツアー映像は映画全体からすると、どうも余分なのかもしれない)。とはいえ、そのことが反面、記録資料に収まらない独自な地位をこの映画に与えているわけでもあって、"Halber Mensch"、"Z.N.S."と続く中盤パートもやはりもうひとつのハイライトだろう。メンバー側の提案した「武闘」を「舞踏」と監督が勘違いしたことから声がかかったとかいう白虎社登場で発生する異種対決は、「ノイバウテンの世界」に完結しない(そして白虎社のものでもない)、この映画の世界を確かに生み出している。
ちなみに、とある映画館での「ノイズ映画祭」だったかそんな大音量上映企画で鑑賞しましたが、最初のシャウトで真っ先に片耳がやられ、上映中含めたその後三時間ほどイカれたままでした。インダストリアル・ノイズはこうでなくっちゃね。
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