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[コメント] のんき大将・脱線の巻(1949/仏)

タチ流のコメディはこれによって完成しました。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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それまでいくつもの短編で実験的な映像を絡めたコメディを作ってきたタチ監督による長編デビュー作。

 概ねすべての作品がとぼけたタチの姿を描くことを主眼としているが、本作も基本は同じ。バランスの取れた世界の中に異分子を放り込んでバランスを崩すことによって微妙な空気を笑うと言ったもの。本作はその最初期の作品だとも言える。それまでの作品は曲がりなりにもチャップリンやキートンのような肉体を使った直接的な笑いを取っていたものだが、このあたりからタチ自身の特有の笑いを確立してきたのかと思われる。ストレートではない空気を読むタイプの独特の笑いを好む人にはお薦めできる。

 デビュー作だけにタチ監督の思い入れも深かったか、何度か修復さている。有名なのは二年後の1949年に再編集して『新のんき大将』として(私が観たのもこちらのバージョン)。その後1963年に部分的な彩色を施し、いくつかのシーンを付け加えて再編集したもの。ところが実はもう一つバージョンがあった。この作品は本来タチの初カラー作となるはずだったが、フィルムのコピーが出来なかったため、同時収録したモノクロ版のみとなる。後にカラー版のコピーが可能となったためカラー版も公開される。だから現在はカラー版で観ることも出来るので、いつか観較べてみたいとは思っている。

(評価:★3)

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