[コメント] 上意討ち 拝領妻始末(1967/日)
ゆれる心の痛み。ゆれない心の痛さ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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『切腹』と比べるとややインパクトも弱く、多少重みも欠けはするものの、心の痛みはこちらの方が上でした。何故かと言うと"圧力に屈しない"という心に"ゆれ"を感じたからです。若い二人の時折泳ぐ目や、伏せ目、相手の顔色をうかがうような目。その目に迷いが見えた時、心が沁みました。そんな中でもやはり三船敏郎演じる侍の笹原伊三郎だけは一切心がブレない。一点を見据えた目の力強い事。『切腹』の津雲半四郎同様、心に迷いがない。むしろ父親の存在がすでに若い二人の意思を揺さぶっているとさえ思えました。あぁ、三船さん…。オッサンになっても決して失わない真っ直ぐさ。その折れ知らずな存在に心を揺さぶられない若造なんている訳がない!
それにしたって討たれても折れないその屈強な心が、見ているこっちとしては痛い(特にすぐ心が折れる私には)。そして最期は恨みつらみではなく、孫の幸せを願う美しさ。痛い。(ただ"愛"という言葉が違和感というか、非常に浮いて響いてきたのが残念。)
それにしても『用心棒』でその存在感に度肝抜かれた仲代達矢。なぜか代わり映えのしない演技に、私はちょっと肩透かしを食らったよ。
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08.07.16 記
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