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[コメント] 網走番外地 望郷編(1965/日)

物語はなんですが、実は最も石井監督らしい作品なのかも知れません。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 この年何と4本ものシリーズ作品を撮った石井監督だが、大人気シリーズを短いスパンで公開したのが功を奏したか、1965年邦画興行成績4位という記録を残す。

 物語としては任侠もののパターンに沿って、高倉健の強さを遺憾なく発揮した作品と言ってしまえる作品。ただ、石井監督の悪い所が見事に出た作品で、とにかく設定があまりにいい加減な上、情緒も何もない派手な“だけ”の演出ぶりばかりが目に付く作品だった。

 本作は親子の情愛を前面に押し出しているのが特徴で、橘親子、旭親子、そしてエミーというハーフの子の親子関係をポジティヴに描いている…はずなのだが、どうにも全てがしっくりいかないというか失笑ものとというか、凄く雑な印象を受けてしまう。ラストの長回しも、感動と言うよりは単にくどいだけ。

 いや、これこそが石井監督の本来の味といえば、その通りなんだろう。この人はやっぱりB級にこだわるからこそ、その味が出てくるのだから。

(評価:★2)

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