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[コメント] ニック・オブ・タイム(1995/米)

もっと確実な方法があるだろ?
ワトニイ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







殆どの方と同じ感想になっちゃうんだけど,結局その程度の出来ってことですね。この作品の唯一のウリは,「映画を観ている観客の時間」と「劇中の物語が進行する時間」がリアルタイムで同時に進んでいるというところだけ。

計画の全体像が明らかになるにつれ,「これだけ大規模な計画犯罪なら,もっと現実的で,リスクの少ない暗殺方法があるだろうに」との思いが大きくなるばかりだった。例えば,プロの殺し屋を雇うとか(雇う前にクリストファー・ウォーケンがそうじゃん!),知事のブレインのうち裏切る側の者たちだけでアリバイを共謀するとか。あれだけ大がかりに組織化してるんだったら簡単でしょ?

だいたい冒頭のシーンで,それなりの機知と勇気と正義感を持った男を探し,大事なパートナー(映画では結果的には娘だったが)を人質にして知事を暗殺させようとするなんて,矛盾してないか? それだけの男なら,持ち前の正義感からこの犯行を阻止しようと悪あがきをすることくらい,予想できるじゃないか?

それに,もしこの犯罪者たちの発想を最大限に尊重するとしても,次のような計画の方が成功する確率は高いと思うが…。

−−−−−−−−−

1.もっと決断力のない無能な男を選び,知事がスピーチする時刻までパートナーと一緒に監禁。

2.スピーチが始まったら男を会場に連れ込み,男のすぐ近くからクリストファー・ウォーケンが知事を射殺。

3.クリストファー・ウォーケンは自分の銃で男を射殺し,知事を撃った銃(監禁中に男の指紋を付けておく)を側に置く。

4.周囲には仲間を大勢配置し,男が知事を撃つのを見たという証言をさせる。会場も暗いし,みんな知事に注目している。

−−−−−−−−−

このように主人公の行動も犯罪者側の計画も何だかスッキリしなかったこの作品だが,意外にも大活躍を見せたのが靴磨きの黒人。大して時間的余裕があったわけでもないだろうに,犯罪者側よりずっと機知に富んだ計画を作ってるし,ホテルの従業員たちを手早く手配して協力させてるし…。あんた,手回しが良すぎだよ!

なお,一番印象的だったのは,本当の黒幕である後援者が誰にも見咎められずにホテルを後にするラストシーン。穴だらけの犯罪計画より,こっちの方がずっとリアリティがあった。

(評価:★3)

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