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[コメント] ウォーカー(1987/米)

真実を語る映画。(『レポマン』のラストに言及→)
HW

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「君達はこう思うかもしれない、いつかアメリカがニカラグアへの干渉をやめる日が訪れると。だが、私は断言する。その日は決して来ない。なぜなら、この国に来て、君達を支配するのが我々の宿命だからだ」

飛躍が過ぎるかもしれないが、この演説シーンには世にあふれる人類へのあらゆる希望に対する悲観的な見解が置かれていると思う。アメリカ批判だけで片付けるには有り余る冷徹さが滲み出ている。人種差別がなくなる日など来ない、男女差別がなくなる日など来ない。搾取と抑圧は存在し続ける。平和と平等は訪れない。とても悲しい事ではあるが、はっきりと告げよう、それが現実なのだ。

レポマン』において、退屈な日々を満たすにはセックスとドラッグとロックンロールでも飽き足らず、遂には宇宙へでも飛び出して行くしかなかったアレックス・コックスの魂は『ウォーカー』で何の躊躇もなくこの悲惨な現実への期待を否定する。そして、エド・ハリスの冷たい狂気。その目には非現実的なまでに冷酷な、しかし、真実が映っている。映画が希望の装置であり続けるには、ハリウッドが夢の工場であり続けるには、あまりにも悲惨過ぎる真実だが、映画がそれを覆い隠す事は出来ない。果たしてこれは反逆か復権か?真の問題作。

(評価:★5)

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