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[コメント] 悪魔のような女(1996/米)

オリジナルに対する敬意はどこに?
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 『悪魔のような女』(1955)リメイク作。シャロン=ストーンがシニョレ役に挑戦と言うことで話題となった。実際かなりの意気込みがあったらしく、シニョレに習って体重を増やしてタイトなスーツを着込むという、女優としての意地を見せたような作品となっている。

 しかしストーンの思いはどうあれ、本作で個性を見せていたのはアジャーニあるいはベイツの方で、ストーンの悪役ぶりも全く中途半端。物語そのものも当時のサスペンスタッチにこだわるあまり、逆に軽くなってしまった。正直、これじゃ他のサスペンスと比べても抜きんでたところのまるでない凡作としか思えず。いや、オリジナルを冒涜したという意味では、余計酷くなった作品だったかもしれない。

 特にストーンはそもそもブレイクした『氷の微笑』(1992)の悪女演技にあぐらをかいて、いくら格好を真似しようとも、自分自身の演技を全然変えようとしないから、悪女と言うよりは単にふてぶてしい女にしか見えない。むしろアジャーニの押さえても押さえても出てくる色香というか、妖艶ぶりの方がかえって引き立つ結果に。引き立て役がオリジナルとは全く逆になってしまった。

 物語で言っても、余韻も何もあったものでなく、「あ、そう」で終わってしまう。オリジナルに対する敬意が無さ過ぎじゃないのかね?オリジナルにあったホラー性をすっぱりと切ってしまったため、ぬるいサスペンスでしかなくなった。

 それでも最初に本作を観た時はかなり面白く思ったものだが、やっぱり後になってオリジナル観てしまうと駄目だね。お陰で評価がた落ち。

(評価:★2)

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