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[コメント] 俺たちは天使じゃない(1989/米)

カトリック教会における罪なんて…
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ハンフリー=ボガード主演の同名映画から、製作総指揮をも勤めるデ・ニーロが基本設定だけを抜き出して作り上げた作品。オリジナルが南国ムード溢れるフランスの植民地の物語であるのに対し、こちらはカナダ国境に近い冬の北部アメリカが舞台となっている。その分、画面は陰鬱な印象を与え、話もオリジナルの気楽さと較べてずいぶんと重くなった感じ。

 とは言え、暗いながらに笑いを決して忘れてはいないのはさすがデ・ニーロと言うべきか。特にラストのオチには大笑いしてしまった。結局彼らはプロテスタントを許してなかった訳ね。

 この作品は、カトリック教会の修道院が舞台で、更に宗教とは無縁な二人がそこに入り込んでしまっての話となるため、カトリック教会の持つ問題性などにいくつか直視することになる。逃げるための方便として司祭となったため、刑務所を出たばかり、しかも目の前に魅力的な女性がいるのに禁欲を貫かねばならないボブの姿は哀れで、そしてコミカルだ。

 しかし、この作品において、一番の立て役者はデ・ニーロの方ではなく、やはりジム役のペンの方だった。あまり口が上手くなく、人が良い位しか取り柄がないジムが、急に尊敬を受ける身分になって戸惑う様子。最後の説教のシーンでの苦し紛れの言葉が逆に聴衆の感動を呼ぶ様子。その辺り、見事に彼がおいしいところ持っていってしまったな。って感じだった。

 ところで一つ気になるのだが、カナダに渡ったネッドは良いにせよ、僧院に残ってしまったジムの方、あのままではいられないだろうに。彼のこれからはどうなっていくのか、ちょっとかわいそうに思えてくるんだが…余計なお世話?

(評価:★4)

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