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[コメント] ミスター・アーサー(1981/米)

物語以外は一級品。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 物語自体は50年代のMGMミュージカルを踏襲したかのような非常にストレートな物語で、本当に何も言うべき事が無いくらいに当たり前の物語で、物語は軽快に、「愛こそ全て!」という落とし所にきっちり落とす。時代を超えたアメリカン・ドリームであり、正直に言えば私にはかなり苦手なタイプの作品にはいる。

 とはいえ、本作は古いミュージカル同様、物語で観るべき作品でないのは確か。キャラクタと音楽で観る作品で、その意味では本作は期待以上。主人公のムーアはともかくとして、執事役のギールグッドの存在感が大変良く、わがままな主人を、そのわがままさも含めて受け入れ、しっかり重要な部分を伝えていく。執事の鏡みたいな人物で、この人が支えていたから本作はしっかりと締まっている。ヒロインにミネリを加えたのも、かつてのミュージカルっぽい感じ。

 何よりクリストファー=クロスの主題歌が素晴らしい。50〜60年代には特に重要視され、数々のスタンダード・ナンバーを生み出してきた映画だが、70年代も後半になっていくと印象に残るナンバーは極端に減ってしまう(いわゆる大作映画での少なさが特に顕著で、スタンダード・ナンバーと呼ばれるものは大概小品から出ている)。そんな中で本作のニューヨーク・シティ・セレナーデは快挙と言えるだろう(ちなみに作曲に加わったピーター=アレンはミネリの元夫)。映画は忘れても主題歌はしっかり覚えている。

(評価:★3)

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