[コメント] あなたに降る夢(1994/米)
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NYを舞台とした人情劇。一応実話を元にしていると宣伝されていたが、実際はラストのテロップのように「元にした」のではなく「ヒントにした」のに過ぎず。それより本作はアメリカ人の好むキャプラ監督作品からの引用が目に付く。チャーリーの生活描写は『我が家の楽園』(1938)から、法廷劇の展開は『オペラハット』(1936)からで、世論の操作に新聞を使うことは『群衆』(1941)、そしてオチは『素晴らしき哉、人生!』(1946)と、見事に引用だらけ。とは言え、モロパクリというほどではなく、ウェルメイドの作品として手堅くまとめられてるって印象。
世の中お金じゃないってオチはありがちとは言え、本作の作りの巧さ(と言うよりイヤらしさ)は、本作をNYにしたって事だろう。本作の主人公はケイジかもしれないけど、実は本作の本当の主役はニューヨーカーだよってメッセージが見え隠れして、それでその良心に訴えかけるって構造は、これがアメリカ人の心をくすぐる…一歩引いて日本人が観ると失笑ものなんだが。
こういう作品だからこそキャラの描写が最も重要になるのだが、これは使い方が上手い。何かとヒーローになりたがるケイジは、そもそも表情が乏しい役が似合うんだから、実際はこういう役こそが一番似合うキャラ。その魅力を存分に活かしてくれた。対するフォンダも、『アサシン』(1993)の女ターミネーターぶりはどこへやら、本来の芸達者ぶりを見せてる(昔からこの人には期待してたからねえ)。一方実に分かりやすい悪役をペレスも嬉々として演じてるのも良い。ほんと楽しそう。
キャラクタ観るだけで楽しいから、全世代の人にお薦め出来る作品。
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