[コメント] ウェディング・シンガー(1998/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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この男、公私混同も甚だしい。自分が落ち込んでいるからといって、人様の式で盛り下がる歌を歌い、新郎新婦に不幸な言葉を投げつける。怒った出席者に向かって「マイクを持った奴の勝ちだ!何を言ってもいいだろ!」と逆切れ。怒り狂った客に強制退去させられそうになっても反省の色なし。冒頭で台無しになりかけた式を取り繕ったのと同じ人間とは思えない。 どう考えてもおかしな話だと思うのだが、その異常性について触れることは無い。
もしかしてこれは笑うところなのだろうかとも考えてみたが、やはり私には何の面白さも見出せない。人の小さな幸せを土足で踏みにじるような行為は、ただただ不快なだけだ。
そして弱い立場の人間に対する視線がイヤラシイ。太った少年がダンスの相手がいないといって嘆いている。ここまでは、まあいい。しかしそこに優しい顔したへなちょこが登場。「君にもいつか素敵な女性がダンスをしてくれるようになるさ」幸せな奴らを見るとむかついて暴れていた彼が、不幸そうな少年には優しく接するのだ。なんて偽善的なのだろう。極めつけは、踊りたいと意思表示をしていないその少年を、ドリューが指名して踊るシーン。ここには「冴えない人間がドリューにご指名されて嫌なわけが無い」という前提がある。弱者に対する温かい視線のつもりだったのだろうが、こんなことを思いつく傲慢さに呆れてしまった。
もうひとつおまけに気に入らないのは、「人気の無くなったトラボルタなんて嫌いだ」とかいう台詞。トラボルタ好きとして腹が立つところだが、それより「人気の無い奴なんて駄目だ」という視線が冷たすぎる。この映画の性質がよく現れていた。
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