[コメント] 日蔭のふたり(1996/英)
冒頭のモノクロ映像と豚の腸を川で洗う乙女の図から、この映画は美しい映像だが不気味だ。そして不幸はめくるく襲ってくる。それでも最後には希望の光が見える。2009.1.4
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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口数の少ない主人公の最後の台詞はすごい。
「誰がなんと言おうと俺達は夫婦だ!」
多少違うかもしれないが、そんなことを去り行く妻に叫んでいた。
えー。 過酷な人生に耐え笑顔の絶えることの無かった妻から笑顔が消えた。 あなたの息子が私の子どもを殺した、と残酷なことを妻に言われた。 たくさんの愛らしい子ども達はもういない。 そして職に就けたとはいえ、あいかわらずの貧乏生活だろう・・・。
この状況下で、妻が去っていくのは非常に納得できる。こんな人生もう嫌だよね。 自殺するかとすら思ったが、金持ちの下で再起をしようとする選択が逞しくて良い。
しかし主人公の逞しさはその上をいった。 彼はこの怒涛の不幸に不平一つ言わない。罵声を浴びせられても何も言い返さない。 結局不幸だ、不幸だと言っても自分が選択してきた部分が大きいのだ。 それに不平を言ったところで状況が改善されるわけでもない。 彼はそのことをよくわかっているのだろう。 風とともに去りぬのスカーレットのようだと思った。 彼女と違うのは立ち向かってのし上がるのではなく、ただ全てを受け入れて、けれども折れないのだ。
私はそれを逞しいと思う。 何の根拠も無く夫婦宣言をしたところで妻の心を取り戻せるのかわからない。 ラテン語を今後も暗誦し続けたところで、大学に入れる気配はない。 けれでも彼は折れることはないだろう。 そんな小市民の生き様に私は感動させられた。
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