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[コメント] 君を忘れない(1995/日)

戦争ものとして観てはいけません。どこかの時代の青春ものとして楽しめれば。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 終戦50年を記念して作られた作品。この年から翌年にかけ、同様の素材で結構な数の戦争映画が作られていたが、正直そのどれも出来は悪い。

 これはまず映画を作る以前に、これは反戦映画でなければならないと言う前提があったことが問題なのだが、反戦と言うことを、ストレートに「戦争はいけないね」という当たり前の帰結に持って言ってしまったことが最大の要因だったのではないかと思う。そんなこと、言われるまでもなく分かってるんだから、「なにを当たり前のことを」といっておしまいだ。反戦を言う場合、きっちりエンターテイメントとして仕上げた上で、戦争とは何かを考えさせるようでなくてはならない。

 その意味では本作は珍しく個性を出そうとした作品なのかもしれない。ヴェテランをあまり使わず、アイドル中心に、爽やかな青春物語にしようとしたあたりに作り手の意地というか、頑張りは見てとれる。終わり方も単なる教訓にはなってない。

 でも、爽やかすぎて物語そのものがとても薄っぺらくなってしまったのが問題。これじゃ戦争してる雰囲気が伝わってこない。戦争をテーマにした学芸会くらい。内容中、台詞で今が戦争状態であることは説明されるものの、みんな綺麗な顔して爽やかに笑い合ってるから、リアリティがないし、別段背景が戦争でなくても観られてしまう。一種のSFと考えた方がしっくりくるような気もするな。

 素材は決して悪くないけど、キャラに振り回され、迷走してしまった作品だろう。

(評価:★2)

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