[コメント] トレマーズ(1990/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
「陸のジョーズ」と呼ばれる作品で、B級作品にしかならないはずの素材を魅力的に仕上げた新人監督アンダーウッドの出世作となる。
ハリウッド製の特撮作品、殊に怪獣ものはほとんどの場合は巨大化した地球上の生きものとなることが多い。典型的な例で言えば『ジョーズ』(1975)に始まる巨大鮫もので、これは時代を超えて今も尚作られ続けている。これはおそらく人間の科学が生み出してしまった。という後付の理由のためだろうけど、純粋な意味での怪獣ものというのは驚くほど少ないのが日本のものとの大きな違いであろう。日本では怪獣はやや神がかった描写が成されているのに対し、ハリウッドでは怪獣とはあくまで自然の驚異であり、それをどう退治するか、あるいは逃げるかと言うことに主眼が置かれている。
そう言う意味ではこういう純粋な怪獣ものというのは珍しい。物語の構成そのものはハリウッドのフォーマットに則っているとは言え、その怪獣描写が良く、しかも怪獣の強さが絶妙なバランスに立っているため、観ている側も「ひょっとしたら?人間の方が勝てるんじゃないのか?」という思いにさせてくれる分、単純に動物パニックになってないのも好感度高し。何せ初めてこの怪獣グラボイスを見た人間が、地下室に山のように積まれている銃を徹底的にぶっ放したら見事に殺すことが出来たくらい(この描写は白眉だ)。しかも戦いの大部分は白茶けた大地の中、白昼堂々と行われており、それが緊張感と言うよりはほのぼの感を醸しているのもなかなか面白い。何より本来必死のはずの主人公の行動一つ一つも、白昼で見ると、単なる馬鹿にしか見えないというのは、本作が作り出した大きなトピックだし、それが本作の面白さにつながっているのは事実だろう。
それにとぼけた感覚で笑わせてくれるベーコン&ウォードのコンビも良い。ベーコンはすっかりB級俳優になってしまったんだなあ。と当時は思ったものだが(今はしっとりとした良い役も演ってるけどね)、それはそれで私にとっては結構嬉しい。と思わせてくれた。
そうそう。冒頭でこの二人がジャンケンをやってるシーンもあった。日本式のジャンケンがここまで受け入れられてるという事実もなんか嬉しい。
決して大作ではないけど、細かい所で嬉しい演出が映える作品だった。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。