[コメント] ハリーの災難(1956/米)
この映画に関して最も素晴らしいのは,設定の妙とタイトルの付け方だと思う。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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身元もわからない一体の死体に次々と偶然出会ってしまった村人たち。それぞれの利害や思惑が錯綜して,てんやわんや…。
普通,生きている村人からこの迷惑な死体を見てタイトルを付けそうだが,この作品では,死体にスポットを当ててタイトルを付けた点が本当に意外だった(邦題もシンプルで,かつ原題の意味をまったく損なっていないのは,お見事)。そして,映画を観ていくうちに,タイトルの意味がだんだんとわかってくる…。
さらに巧いのは,作品のタイトルにまでなっているハリーだが,物語が始まった時はすでに死んでいるためセリフが一つもない…どころか映っているのは殆ど足ばかりで,顔さえスケッチでしかわからない。ミステリでは必ず詳細に説明される被害者のプロフィール,殺人の理由,犯人像などが一切語られておらず,ハリーはただ単に”死体”として出演しているのみである。
それなのに,主な登場人物はすべてハリーに踊らされ,ストーリーもハリーを中心に進んでいく。役柄的にはまるで目立たないのに,存在感は圧倒的に大きいというこの逆説的な設定が何とも巧い。
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