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[コメント] 電送人間(1960/日)

30分で済む作品を無理矢理3倍に薄めたって印象が強い作品。薄めた分を何も足さないとこうなってしまう。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 東宝の放った変身人間シリーズは良作が多い。特に同じ年に公開された『ガス人間第一号』と『マタンゴ』(1963)は、私にとって貴重な最高作品。

 しかしまあ、その中でも、本作はちょっと外したかな?

 決して悪いとは思わないし、演出も結構良かったと思うけど(走査線で表現される電送人間の表現方法や、電送を繰り返すたびに傷が増えていく描写など)、物語があまりにも単純に過ぎた上に、謎解きとかもかなり強引。後で円谷プロによって作られたテレビシリーズの「怪奇大作戦」の一本としてだったら、評価も出来るんだけど…

 私なりには変身人間シリーズの特徴として、人間外のものに変えられてしまった人間の哀しさというものが重要だと思うのだが、本作の場合、哀しさと言うよりは復讐の鬼としか描かれてなかった分、それが科学を用いた単純なサスペンスになってしまった感じ。更に科学的な意味合いが強すぎて、人間の感情を排除してしまったのも問題。怒り以外の感情が見あたらない。もっと複雑な感情を表現できたと思うんだよな。

 キャラクターは、電送人間役の中丸忠雄が妙に無表情で、何考えてるのか分からないのは結構良かったんだけど、逆に演技が今ひとつ。関係ないところで挿入される白川由美も物語のバランスを崩してる。時間の使い方が少々下手なんじゃなかろうか?

(評価:★2)

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