コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] エスパイ(1974/日)

これが仮に福田純監督じゃなくて石井輝男あたりに撮らせたら、ある意味伝説の作品になれていたかもしれませんね。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 原作の「エスパイ」は実は私が初めて読んだ大人向きのSFだったりする。丁度小学生の頃、町の図書館に行ってはジュブナイルを読みあさっていたが、小さな図書館だけにあっという間に読み尽くしてしまい、それで他に何か無いか?と探していたときに文庫本に見知った著者の名前があったので、借りて読んだのがこの作品だった。当時、非常にアダルティな描写に結構どきどきしながら読み進めた記憶がある。

 それが映画化されていたことは先に知っていたが、なかなか観る機会が得られず、DVDのレンタルが始まってようやく観ることが叶った。

 一応好意的に観る限り、本作は「早すぎた作品」であるとは言える。CGもない時代になんとか特撮で超能力を表そうという努力は認めるけど、描写がちょっといい加減すぎる感じで、藤岡弘、が主役と言うこともあって、悪い意味で変身しない仮面ライダーを観てる気分にさせられる。なにせ、国際的な犯罪シンジケートとの戦いというのに、全く世界に出かけてる気分にさせられず、あたかも箱庭の活劇と言った感じ。特撮の部分も申し訳程度で、結局戦いも銃撃戦がメイン。超能力で味付けされたアクション映画というのが一番分かりやすいかもしれない。

 日本映画界が誇る濃〜い面々が画面狭しと暴れ回ってるのはそれなりに見栄えはするのだが、ギリギリのところで真面目さが仇になって、みんな馬鹿に見えてしまうのが一番の問題点かも。大体この作品の最大の見所って由美かおるが胸をほりだすだけしか印象に残らない。原作をこれっぽっちも理解してると思えない脚本も難点。

 もうちょっと割り切ってエログロを強調するか、あるいはコメディ調に仕上げるかしないと、当時でも受け入れられなかったんじゃないかな?

 ただ、これを悪く言いたくないのもやっぱり特撮ファンの心理ではあり。出来れば今CGを駆使してリメイクしてもらいたいものだ。作りようによっては『X-MEN』ばりのアクション作には出来るんだから。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。