[コメント] 大脱走(1963/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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ドイツナチの敵兵収容はあまり残虐なものではなかったのでしょうか?『シンドラーのリスト』だとかにみるユダヤ人への残虐性は、敵兵には向けられなかったのでしょうか(歴史認識が乏しいので...)。
収容所内は生命も保証されているし、さほど過酷な労働を強いられるわけでもないし、映画のセリフにもあるように「終戦まで楽しんでいてくれ」といった状態なのでしょう。旧ソ連のシベリア強制就労に比べれば、追い詰められた感はなさそうな背景です。
そんな中、100mにもわたるトンネルをみんなで堀りすすめ、大人数の脱走を図るというストーリー。その脱走に成功するまでの過程は結構ひきつけられるものがあります。「ホントかよぉ」という話もありますが、まあ、素直に楽しむべきでしょう。しかし、脱走後の運命は登場人物バラバラに描かれており、ドラマ性が薄くなってしまっているように思えました。ジェームズ・コバーンだけが成功するのなら、そこにもっとスポットを当てて欲しいし、スティーヴ・マックイーンにスポットを当てるのなら、もう少しストーリーの組み立てにも工夫できたであろうに、と思います。一人キャッチボールのシーンが象徴的に描かれていますが、なんだかとってつけたような技法に見えてしまいます。
音楽は誰もが耳にしたことのある軽やかなマーチですが、これがまた映画全体の深刻さと切迫感を打ち消しています。「そんな深刻な映画じゃないんだから」と言われれば、このテーマ音楽の効果は絶大でしょう。
「史実に基づいて...」という前提があるので、映画作りも難しかったのでしょうか。でも、評価は高いんですよね、この映画...。
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