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[コメント] 老人Z(1991/日)

実際の話、『AKIRA』と本作のどっちが好きか?と仮に訊ねられたら、確実に本作の方が好きと答えます。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 漫画家としての大友克洋は『AKIRA』(1988)を代表するハードSFばかりがもてはやされる傾向にあるが、この人のデビュー当時はむしろぬるめのコミカルギャグの方が多かった位で、息抜きっぽいそちらの作品の方が面白いと思える事も多い(と言うか、ハードSFの方は、一話での展開がなかなか進まないので連載時は消化不良を起こしてしまっていた)。本作はそんな短編の一編を、『AKIRA』的技法を用いて作ってやろうとした作品であり、物語自体の単純さと相まって、小気味よいアクションが楽しめる。

 実際私としても、『AKIRA』のクォリティの高さは認めるものの、あの膨大な原作の情報量に負けてしまって中途半端に終わってしまったと言う思いが強く、その溜飲が本作によって晴らされた気分が大きい。

 確かに劇場で観るにはボリューム不足という感じだが、ビデオで観る分にはこちらの方がリラックスして観られるし、キャラクタデザインもいかにも大友大友(?)してるよりは、江口寿史に任せることによって、良い具合に普通っぽく観られるのも良し…考えてみると『PERFECT BLUE』と言い、江口寿史とアニメの相性は良いみたいだ。可愛い女の子よりもむしろ元気溌剌ぶりを見せてくれるお爺ちゃんパワーが何より良かったし、ラストも人を食ってて良し。

 それに何より、私はスラップスティックアニメが大好き。息をもつかせぬ展開を笑いとアクションで怒濤のように見せてくれる作品を常に頭のどこかで求めているものだが、本作はそれを充分に満たしてくれた。

(評価:★4)

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