コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 戦場のメリークリスマス(1983/英=日)

プレゼントはこんなふうに贈りたい。
Bunge

贈りものっていうのは、自分の足で選び抜いたり、リスクを背負ったり、下心を抑えたり、タイミングを見計らったりするもの。

本当に伝えたい気持ちは、そういった積み重ねを経るか、感情をさらけださなければ相手に届くことなんてない。

前者の方法で描かれた作品が戦場のメリークリスマス。人生の中で大きく後悔した経験こそあるものの、人の心を満たす積み重ねを持った余裕ある主人公・セリアスだからこそ出来る「プレゼンテーション」。だから広範な観衆に感動を与えられる作品に仕上がっている。

一方で、ブレードランナーのロイがとったのは後者の方法。こちらの表現も清らかだけど、バックボーンが違えばこうもトーンが変わる。ロイはセリアスよりも愛を知っているけれど、それ以外の面が不遇すぎて心に余裕がなく、抑制などできるはずもない存在。すべてのマイノリティやアウトサイダーに捧げられた作品。

なんとヴァンゲリスが担当している音楽の面でも本作はひけをとっていない。それでも映画史に名を残したと言い難いのは残念。冴えた時期の斬新な演出力がなんといっても映画の要であるのは残酷な事実。

2012/12/08 CSファミリー劇場で鑑賞。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。