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[コメント] ナインハーフ(1985/米)

ミッキー・ロークの一つの頂点。まさかこの時から、あんな生き残り方をしたとは想像もつかん。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 エリザベス・マクニールの小説の映画化。ヒロインが自らの品格を貶めていると、多くの女性が反発するが、大ヒットを記録する。公開当初、特に日本でもセンセーションを引き起こした作品として記憶される作品。実際、この公開後、文壇や漫画界などでは、かなりの数の模倣作品が生まれていた。関係ないが、この公開はちょうど高校生の頃。学友の中で「観たぞ」とか言って盛り上がっていた奴らが確かにいた。

 ストーリーフローは、恋愛ものの基本であるボーイ・ミーツ・ガールで、一目惚れした男女が関係を築き、やがて別れていくというベーシックなものなのだが、本作の特徴は、そのシンプルなフローに、数々の実験的演出を加えたことによる。有り体に言えば、セックス描写なのだが、かなり露骨なSM描写がなされていて、それを当代一流の二人の役者が体当たりでやってのけたってことが重要。

 描写そのものはソフトコアポルノにも満たないものだが、思わせぶりな台詞と、目と目で行う演技。そして肉感を示す数々の描写など、演出部分はかなりの力の入れようで、直接描写よりも、その雰囲気がまあ、とにかく素晴らしいものというか、なんというか…直接描写を避けながらも、これだけエロチックなものが作れるということだけでも、充分評価に値するだろう。

 少なくとも、今でも私の脳内では、20年以上も前に観た濡れ場が、かなりの再現度で思い出すことができるくらいだから、描写能力は突出していたと思える(別段エロいから覚えているわけではない…と、思う)。

 そして何より、本作はミッキー・ロークとキム・ベイシンガーという、旬の役者が体当たりで応えたことが一番の強味だろう。これだけのスターが、これだけのことをしている。それで充分。 

(評価:★3)

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