[コメント] フランス軍中尉の女(1981/英)
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本作は同じ役者による二つの作品が交錯し、徐々に劇中劇の方が現実を浸食していく。という一風変わった作品で、一種のメタ作品。構成が大変面白く、なんか『田園に死す』(1974)を思わせる。本作の特徴として、劇中劇が単なる添え物ではなく、むしろそちらの方が主体になっているという点だろうか。実際映画の時間にすると、3/4は劇中劇の方に時間を割いてる。
ただ、それは良い意味だけでない。混乱させられてしまうところもあり、ちょっと面食らってしまった。実言えば途中まではそれが分からず、途端に近代的なセットを見せられていきなり混乱してしまった。その辺のどんでん返しの仕方はかなり巧いと思う。作りからして混乱させることを前提としているのかな?
ただ、メインとなる物語自体が実はちょっと好みから離れているのが問題で、何でこんな展開になるの?といった感じ。
それと、これが撮影と分かった時点で、何故劇中劇の物語が時間軸に沿って流れていくのかがちょっと気になった。撮影の場合これはおかしいだろ?折角どんでん返しを途中で作ったんだから、以降でそれを逆手に取った演出が欲しかった。その部分をすっぱり切ってしまい、結局恋愛劇のみに焦点を当ててしまったのが残念なところ。もう少し混乱させて欲しかった。
結果として、二つの異なる恋愛劇を並行して行ってるだけ(しかも好みからは離れた)となってしまった。
ただ、確かにキャラに関しては申し分なし。ここでのストリープは堂々たる主演ぶりを見せているが、実は本作が初主演作なのだという(ライス監督の直々の指名)。流石この人は飛び抜けた実力を持ってるね。イギリス英語も見事。
ちなみに劇中劇と撮影でどちらもストリープとアイアンズが不倫のごとき恋愛関係にあるが、実生活でも不倫の関係にあったとか。メタさもここまで来ると凄いもんだ。
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