[コメント] 打撃王(1942/米)
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2130回連続出場という偉業を成し遂げた野球界の偉人で、今も尚アメリカ人に最も愛され続けている“鉄人”一塁手ルー=ゲーリッグの半生を、これも当時アメリカ人に最も愛されたゲイリー=クーパー主演で作り上げた、一種の伝記映画。ベーブ=ルースを始め、ビル=ディッキー、ロバート=ミューゼル、マーク=ケーニッヒ、ビル=スターンと言ったヤンキースの名手が実名で出演していることでも有名になった。 クーパーは当時のアメリカを代表する大スターであることは間違いないが、演技者としては決して芸達者な人物ではない。後代からすれば、“演技下手”とまで言われるくらいなのだが、しかし彼は特にアメリカでは愛された。それは彼の存在がアメリカ人の理想そのものである。とされているからだそうだ。
当時のアメリカ人が理想としていたのは、木訥な一本気性格で、決して垢抜けないが、家族には優しく、悪には容赦しない。と言った風情。はっきり言ってしまえば、田舎者こそがその理想だったと言われる。そう言う意味では常にはにかんだような表情でありながら、一丁事あれば、颯爽としたヒーローともなれるクーパーの造形は見事にその好みに合致したとも言えるだろう。その愛されるクーパーらしさをそのままゲーリッグに当てはめたのが本作。そのあまりにも出来すぎた人物像には、一瞬「なんじゃ?」と思うかもしれないのだが、理想化されたすがすがしさを感じることができよう。
後、本作が作られた時代も重要だろう。1942年と言えば、第2次世界大戦の真っ最中である。こんな時にこんな清々しいスポーツ作品が作られたアメリカというのは、確かに凄い国であることがよく分かる(戦争の最中だからこそ、明るく健全、家庭生活でも清潔なヒーローが作られたという話もある)。
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