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[コメント] ベン・ハー(1959/米)

初見が14インチのテレビというのは勿体なすぎました。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 かつて南北戦争の将軍で、小説家となってベスト・セラーとなった原作の二回目の映画化作品(1回目は1925年のサイレント映画。未見)。

 丁度この時代、映画界は激動を迎えていた。フランスでは全く新しい映画手法であるヌーヴェル・ヴァーグが始まり、保守的なハリウッドでも徐々に改革の波が押し寄せてきていた。そんな時代に、これぞハリウッド!という気合いを入れて製作されたのが本作。おそらくハリウッド史上最も大がかり且つ派手な作品で、当時天文学的とまで言われた1500万ドルが投入され、台詞のある役者だけで350人、エキストラが5万人を超えるという超大作に仕上がった。その規模はハリウッドにしても度を超えていたと言う。ハリウッド内でこれに比肩できるのは『クレオパトラ』(1963)くらいだろう(尤も世界的に見れば『戦争と平和』(1965)という桁違いの作品もあるが)。ワイラー監督がそれを非常に優れた作品として仕上げたお陰で、1959年のアカデミー賞を11部門総ざらえ。現在もその記録は破られていない(『タイタニック』(1997)と『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』(2003)がタイ記録)。

 本作は二部作で、一部が奴隷状態からの回復を、二部では宿敵となったメッセラとの政治的駆け引きが描かれるが、どちらも単体の映画として観て良いくらいで、それぞれにちゃんと起承転結が付いており、どちらにも精神的な駆け引きのシーンもあれば、派手な見せ場もあり。と言う感じで、決して飽きさせない内容になっている。前半部分はガレー船での戦闘シーン、そして後半では勿論戦車競技で。現代であればCGでごまかす部分を全て手作りでやったという事で、特撮ファンとしても大満足の出来である。  ただ、それだけに本作は是非とも劇場で観るべき作品だった。初見がビデオ。スクィーズサイズでテレビが14型というのは、あまりにも情けなすぎた。だから質の高さは認めるんだけど、思い入れはさほど高くない。一応持ってはいるので、その内にもう一度大画面で観直してみようと思ってる。

(評価:★4)

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