原作も小説としては滑稽と言えるような展開を見せていたが、映画化を意識しているのであれば、それなりに面白く読むことができた。しかし、この映画ではそうした原作の面白さをすべて省いている。映画と原作は別という議論もあろうが、これでは原作の面白さをまったく認識していないと言われても仕方がない。原作と別というのであれば、代わりの見どころを用意しているのであればまだ救いがあるのだが、あるのは水野美紀のおざなりのアクション。正直、こうした作品に出会うことは少なくなく、原作者には同情してしまうのだが、この作品ではあろう事か原作者が脚本としてクレジットされている。しかもパンフレットでは企画から参加していると堂々と書いているのだから救いがない。ご都合主義も中途半端で笑えない。最も怖いのは次回作を想像させていることだ。こんな程度ならもう見たくはない。