[コメント] 死んでしまったら私のことなんか誰も話さない(1995/スペイン)
心は確かに揺さぶられたけれど、良い映画を観たとは思えない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
−フリア・ヤネスに捧ぐ−
と、物語の最後に監督の実の母親であるフリア・ヤネスの名前があった。そういえば、監督の父親も闘牛士だったとか。
なるほど、根強い男性優位や高い失業率と言ったスペイン社会が抱える闇をバックグラウンドに、夫の事故をきっかけに自暴自棄になり破滅へ向かうグロリアを「強くなりなさい」と時に厳しく、時に優しく見守り、再生へと導く姑フリアの姿に自らの母親を重ね合わせたか。
それならば尚の事、あのラストはいかがなものか?本当にグロリアが自立し再生する為の最良の手段は、姑フリアが自らの命を絶ってまで植物状態の息子や家のローンといった足枷をはずしてやることだったのだろうか?
物語の冒頭。銃撃に倒れた警官は「俺のことを思い出してくれ」と言い、フリアは最後に 「私を忘れないで」と言った。この二つの最期の言葉からは、強い生への執着を感じずにはいられない。
たまらなく後味が悪く、フリアの無念が心に突き刺さる。
あんな最期を尊厳のある死だと言えるのは、生きている人間のエゴでしかない。
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