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[コメント] 素晴らしき放浪者(1932/仏)

お金と幸福、だけど悪ふざけが過ぎる.
ルミちゃん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







なぜブーデュが流されていったか、考えたのだけど. ブーデュは宝くじが当たり、アンヌ=マリと結ばれるけど、ボートが転覆したついで、流されてっちゃう.

これを、そのまま受けとろう.宝くじに当たって手に入れた幸福を否定した. ブーデュの自由な生き方を通して言いたかったこと、それは、お金=幸福ではないんだ、って.やんわり、やんわりと、こう言ってるみたい.

ということで、一応、ここまでは、自然主義の描写による素晴らしき放浪者、と、しておきましょうか.

この映画、悪ふざけが過ぎるのじゃないかって、思ったけど、実は全く別の目的を持っているみたい.

まず最初、字幕にブーデュと出る. その次が、劇.この劇、演じているのはアンヌ=マリと旦那さんなのだけど、格好は原始人.つまり、これから始まる映画の、アンヌ=マリとブーデュの出来事を簡単に説明している.男が柱に頭をぶつけると、その柱がぐらぐら、いったい何なのと思える、変な劇.そして、男と女がキスする.つまりブーデュとアンヌ=マリの結婚の出来事は変ですと、言ってるらしい.

全部、変なことばかりの映画ね.変な出来事を通して、ジャン・ルノワールは何か企んでいる. 一例を上げると、多分ノートルダム寺院でしょう、立派な寺院の建物がなんの意味もなく描かれる.暫くして先ほどの寺院の物と思われる(思わせる)屋根が描かれて、続けて本屋の前にたたずむブーデュ.これは観る者が錯覚を起こす、素晴らしい寺院とブーデュを混同してしまうのね.要するにインチキ.

素晴らしき放浪者、この題名は罠.ミシェル・シモンの芸をどう受け取るか、これが鍵.

(評価:★5)

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