自分を２０歳と思いこんでいる８０歳の老人と若い女性のホームヘルパーの話。老人にとってヘルパーの女性は学生である自分が憧れているマドンナに見え、恋心を抱く。いきなり大人になってしまった子供やタイムトラベルなどで主人公が現実の時代から切り離されてしまうジェネレーションギャップものというべきジャンルは古くからあり、ほとんどがジェネレーションギャップにより主人公が引き起こすドタバタコメディだ。原作のコミックを読んでいないぼくはこの作品もそうしたものだろうと考えていた。ところが予想は大きく裏切られた。マドンナの存在によって夢を見ているのだと思う老人。その夢の中で２０歳の自分の親しい友人がみんな死んでしまっていることの哀しさ。これだけでぼくははまってしまった。ホームヘルパーの女性の方にも血のつながらない弟という設定もあり、泣かせる設定には事欠かない。この難しいストーリーを若手演技派がしっかりと締めている。若干、見た目の年齢との齟齬が気になるが、それすらも無視できる出来には感心させられる。