[コメント] 追いつめられて(1987/米)
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本作をサスペンス作品として考えるなら、かなりきちんとした作品だと言える。 実際、なんでこんな奴が政府の中枢近くにいるのだ?と思えるくらい迂闊で女好きな男が、国家を脅かす陰謀に巻き込まれてしまう。綱渡り状態で何とか危機を脱したら、実は…という話。意外性もあり、必然性もきちんと物語に組み込まれていてかなり良質な物語。
まさにヒッチコックが得意としていた巻き込まれ型のサスペンスで、畳みかけるような展開とどんでん返し、オチでそれまでの疑問点がすべて氷解する。と、物語に関しては実に上手くできている。
だから本作に高得点を付けるのには吝かではないのだが…
こういう物語を作る場合、主人公の選定が決め手となる。特にこう言ったどんでん返しをオチに持っていく場合、主人公には冴えない人物を用いないと、意外さを演出できないため、物語そのものを崩しかねない。
その点が最低条件だと思うのだが、ここに色気の塊であるケヴィン・コスナーなんてのを連れてきたため、折角の良質サスペンスがセクシー・アクション作品に一変してしまった。なんか本作で思い出されるのはコスナーがひっかけた美女とベッドにしけ込むような場面ばかりだ。
ヒッチコックはシリアスな場面に笑いや色気を入れるのが上手かった。本作もそれを目指していたんだと思うのだが、本作の場合はそれがいきすぎた。色気ありすぎる役者を主人公に持ってきたため、そちらばかりに目が行ってしまう結果になってしまった。なんとももったいない話ではある。
…でも本作で少なくともコスナーという人がどれほど破壊力のある人物であるか。ということだけはわかった。折角の良い物語をたった一人で破壊できるほどの名優であるのはよく分かる。
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