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[コメント] クリミナル・ラヴァーズ(1999/日=仏)

8人の女たち』もそうだが、この映画の監督は、本来繰り広げるべきエピソードそっちのけで、人間関係の機微ばかり主に描いて、なおかつラストは投げやりな展開で終わらせる傾向が多いように思う。
わっこ

**ネタバレ注意**
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何を描きたいのかがよくわからない監禁サスペンス映画。

序盤は恋人を利用して同級生の少年を殺させる狡猾な少女アリスと彼女に翻弄される少年リュックの逃亡を描いた展開だが、中盤からは小屋を発見した2人が小屋の住人である中年男性に監禁され、アリスの日記を読んだ男がアリスを地下に監禁し、リュックを自分の奴隷のように扱うという人間関係が描かれたサスペンスドラマとなる。この男がリュックを奴隷のように自分の体を洗わせたり、はたまた性関係を持ったりとやっていることはかなりエロチックだが、異色な部分は上手く伝わっていると思う。

しかし、ラストでアリスを地下から出し、リュックがアリスと共に逃亡するわけだが、突然現れた警察隊が彼らを追い詰めてアリスを銃殺するというそれまでの展開を全てぶち壊すかのような稚拙などんでん返しはストーリーをかなり安っぽくしてしまっている。

おそらく序盤の殺人現場を伏線にして童話のような悲しい結末を表現したかったのだろうが、正直のそれまで存在自体を全く描いていないキャラをいきなり登場させて全ての問題を投げやりにして決着をつけてしても、単なる御都合主義に見えず、ストーリー的にも消化不良なまま終わってしまう。どうせ死体隠滅を図る高校生の話なら警察の影をもっとうろつかせて欲しかったところ。意図的だったのだろうが、リアリティのない話に突然現実的なシーンを入れられても唐突な印象しか残らないと思う。

8人の女たち』もそうだが、この映画の監督の演出は本来繰り広げるべきはずのエピソードそっちのけで、人間関係の機微ばかり主に描いて、なおかつ投げやりな展開で終わらせるという傾向が多いように思う。

ただリュック役ジェレミー・レニエは純真無垢な少年の初々しさを上手く演じていて、性描写にも体当たりで挑むたくましい演技には好感が持てる。

(評価:★2)

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