確かに面白いのですが、登場人物全員が見事なまでの駒であります。カンフーを見せるための駒でありコメディを見せるための駒です。プロットどころかストーリーすらひねった感じがしません。どう見ても道士がヒーロー的存在であるにも関わらず、クライマックスで目立った活躍をさせないあたり、全く理解出来ません。最後のキョンシーに対するフィニッシュの仕方も思いつきにしか見えません。女幽霊のエピソードも、とってつけたようで本筋との関連が薄すぎます。短編を続けて観ているようで、テンションが上がりはしても溜まりません。上がって10分も経てばたちまち下がっていきます。コメディー要素に関して言えば、どれも単発的ギャグであり、ストーリーに沿った形でのコメディでなく、コロコロコミックの世界であります。とにかくこの作品の良さは道士の魅力に尽きるのですが、これも道士の個性の中枢を成す厳しい性格とギャグの相性が良かったのであり、運に助けられた感じもします。ちなみにサモ・ハンは、この作品は失敗すると予言していたとか。　しかし失敗覚悟で投入した（香港映画的に）膨大な予算により、安っぽい感じはまるでありません。