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[コメント] ヘルレイザー/ゲート・オブ・インフェルノ(2000/米)

作品単体としては決して嫌いではないが、一度見ればいいかな、という印象。しかし、『ヘル・レイザー』と冠している以上、そのガッカリは大きい。 8月21日ビデオ鑑賞
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







そもそも『ヘル・レイザー』は1作目しか見ていないのだが、あの1作目はあのどろどろした作品全体を包む雰囲気と、どろどろしたクソ野郎どもと、どろどろしたゴア・シーンの相乗効果(と精巧に作り上げられた世界観)にこそあると思うのだが、じゃあこの作品にそれがあったか、というと、やや微妙。

所どころそういったシーンはあるのだけど、基本的に(最終的なオチを無視して言えば)「連続殺人犯の凶行」という文脈に位置づけられるだけでしかないので、そういう意味ではともかくとしても、『ヘル・レイザー』としては、「これでいいの?」という疑問が尽きない。結局、世界が「この世界」の中を浮遊しているだけにしか見えない。それでいいのだろうか。

最終的に主人公の罪の物語にする凝った構成にするよりも、普通に人物を絡めて描く方が魔道士らの美しさ、「痛み」の美しさが際立ってよかったと思う。勿論、それによって物語そのものがややステレオタイプ化してしまうかもしれないが、それでも作品の魅力は削がれないと思う。コメンテータのLUNAさんも触れてらっしゃるが、ピン・ヘッドのインパクトだって、作品でこれだけ小さな扱いでは、もったいないというよりも、むしろ疑問にしか思えないのだ。

ゴアシーンにしても、あのラストシーンの皮剥ぎにしてもそうだが、作品の過程で登場する殺人シーンは基本的に「痛み」の、そしてその「美」も無い。『ヘル・レイザー』の2作目3作目がどういうものかは俺は未見なので分からないが、少なくとも1作目を見た印象から言えば、この作品は、続編としてはややガッカリな作品だったとしかいえない。世界観も、それなりに上手く作りこまれていると思うが、1作目のような方向性ではないので、美しさなど無い。あるのは、先の見えない「スリリングなサスペンス」であって、「『ヘルレイザー』という美しい空間」ではない。

全体を貫く雰囲気こそ決して悪いものではないのだが、凝った物語ではなく、凝った美学を見せて欲しいのだ。「あっち」と「こっち」の間を浮遊する雰囲気が欲しいのだ。サスペンスじゃないんだってば。

(評価:★2)

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