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[コメント] フューリー(1978/米)

売り方がまずかったな。もっとキワモノ扱いした方が売れたはずなのに。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 デ・パルマ監督が、出世作『キャリー』に続いて監督した超能力を扱った作品。  超能力ものと言えば、大概はSFかホラーにカテゴライズされるので、そこで演出されるのは恐怖心をあおるか、あるいは特撮部分に力を入れるかになるものだ。

 出世作『キャリー』がヒットしただけに、デ・パルマが監督するのならば、本作もホラー性を高めてくれることが期待されたのだが、出来たものを見ると、基本は子供を奪われた親の戦いと言った風情で、ほぼ完全なサスペンス作品になっていた(そういえばデ・パルマはホラーよりもこっちが専門か)。超能力の描写もいくつかあるのだが、あくまでサスペンスの味付け程度に抑えられている。ランカスター、カサヴェテスという、ヴェテラン俳優を配していることもあって、際物にはしたくなかったか?音楽も怖がらせる気全くなし。全般的に怖がらせようと言うサービス心は無いので、いつもどおりのデ・パルマ調を楽しめばいい。

 ただ、そう考えるととても勿体ないのがラストシーンだろう。超能力による全身爆破などと言う、ホラーだったらそれだけで売りになるシーンがちゃんとあるのに、ホラー的に作ってないため全然怖くないところが残念なところ。これを徹底的に前面に出せば、ショッキング描写を売りに出来たのに…実際、この3年後にクローネンバーグが作った『スキャナーズ』(1981)なんて、それだけで売っていたようなもんだから、演出の方向性を別な方向に持っていっていたら、本作は際物としてだったらヒットしたんじゃないかな?

 カメラ・ワークの冴えは本作でも健在で、ケレン味のある演出を楽しむタイプの人は十分楽しめるだろう。

(評価:★3)

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