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[コメント] マンハッタン殺人ミステリー(1993/米)

本格ミステリーを楽しみたいなら別だが、コメディと、アレンの芸達者ぶり、それにいろんな外連味を楽しみたいなら是非お薦めしたい一本です。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 近年のアレンコメディの中では比較的シニカルの度合いが低く、一般向けのコメディっぽいが、劇中様々な映画からの引用も多く、特に古い映画を好きな人にはにやっとする要素が色々入っていてなかなか楽しませてもらえる作品に仕上がっている。とくに後半の劇場での鏡のシーンは圧巻。まさしくウェルズの『上海から来た女』のパクリだが、それを上質なコメディ調で、しかも緊張感あるものに仕上げてくれる監督の実力には脱帽である。

 物語が全部偶然と憶測の重なりという問題はあり、表題の「ミステリー」部分がかなりいい加減になってしまっているものの、それらも含めて、懐かしさを感じさせられるものばかり。

 かつての『アニー・ホール』の名コンビぶりを彷彿とさせられるアレンとキートンの掛け合いも楽しいのだが、かつて恋人同士だったこの二人は、もの凄い喧嘩別れをしていて、一生和解は不可能と言われたものだが、それがあっさりと共演。しかも名コンビぶりを復活させたというのは、意外と言えば意外。いや、むしろこれはアレンの人徳がなせる技なのかな?(本来はキートンと別れた後で結婚したファローが本作のヒロインとなるはずだったが、これまたとんでもない別れ方をしてしまったため、仕方なくキートンに依頼したと言うが、到底そうとは思えないはまりっぷりだった)。

 これまでの作品だったら、妄想はアレン自身が演じ、周囲がそれを抑える役を担うのがパターンなのだが、今回は全く逆。キートンの方が妄想全開で、アレンの方がそれを抑えるのだが、これも又実に良くはまってる。オロオロしっぱなしのアレンはこれはこれで本当によく似合う。

(評価:★3)

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