スーパー･マーケットで子供を産んだ少女の街での新しい生活と成長を描いた人間ドラマ｡

二時間の上映時間の中に１クールのドラマを全て組み込んだぐらい内容の濃いストーリーで､本来エピソードを積み込みすぎると､話が浅薄になりがちだが､この作品の場合､各エピソードを追うごとに主人公の成長や生活の変化の過程がわかり､エピソードのつなぎにも無理がない｡また､エピソード一つ一つに決着をつけて､進んでいくのにも好感が持てる｡

役者としては､生真面目でお人よし､ちょっと人とは感覚がずれている少女役ノヴァリー･ネイションを演じたナタリー･ポートマンの演技が素晴らしかった｡少女から大人になっていく過程を観る側にわかりやすく､そして繊細に演じている｡ナタリー･ポートマンにとっては初の主役となる映画だが､一人でも映画を引っ張っていける演技力を見せつけてくれた｡

ノヴァリーと対照的な人生を送るディラン･ブルーノ演じるロッカーのウィリー･ジャック･ピッケンズのエピソードがノヴァリーと同時並行的ながら､やや淡白でおざなりな印象だったのは気になるが､それはナタリー･ポートマンの演技力にそれだけ印象が高かったということだろう｡

人間の成長ドラマとしては役者､シナリオともに優れた秀作｡