[コメント] ドラえもん のび太とアニマル惑星(1990/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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劇場版シリーズの特徴の一つである、異世界の危機にのび太達が干渉して平和をもたらすという話。
正義の主人公が正しい陣営に味方して異世界を平定に導く。このパターンは60〜90年代にハリウッドで量産されたパターンで、日本のアニメでもそれなりに作られてる。
ただ、これには絶対なる正義というものが前提になければならない。その前提とは、基本的にハリウッドでは“自由意志”であり、“民主主義”である。それは時代の産物で、共産主義に対抗するためにアメリカが作り上げた一種の幻想世界だった。幻想だからこそ映画では絶対的正義としてのテーゼとして設定される。その理想世界のために戦うことが主人公の義務であり、それを教えることも義務となっている。
日本の場合もそれに準じるが、それに加えて“平和”のウェイトが高いのが特徴となる。戦いは火の粉を払うために仕方なく行うものであり、戦いが済んだら勝手に平和になることが前提となる。むしろこども向きであるなら、平和こそメインの争点となる。
分かりやすい正義がそこにはあるが、ある意味ではこれは正義の押し売りになってしまうし、本来の歴史を歪める所業ということもあって、今では作られにくくなっている。
そんな古い時代のテンプレの代表作と言って良いのが本作だろう。ある意味見事なテンプレを見せられるので、時代というものを知るのにとても重要な作品でもある。
念のために言っておくと、多少反発は覚えるものの、決してこれ嫌いだと思ってない。確かに今はもう作られなくなった設定だが、実際ここに挙げた三つの項目は重要だし、それをストレートに描く映画は必要だとも思ってる。逆にこの作品が現代とずれてきていることに危機感を感じるものでもある。
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