[コメント] 君の名は 第三部(1954/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
これまでの様々な関係に決着が付き、一応の大団円を迎える話になる。
ただ、これを通して観てみると、なんというか男のずるさというか、煮えきれなさが妙な具合に強調されていて、それに翻弄される女性という描写が、なんかとても居心地の悪さを感じさせてしまう。基本的にここに登場する男性はそんなに悪い奴らではなく、ただちょっと変なところに意地を張ってしまい、どんどん悪い方向へと行ってしまうと言うパターン。女性に対して優しくなろうとすることと八方美人なところが合わさると、男の優しさは残酷さにもなってしまう。
特に本作に登場する男達は、基本的に悪い人間はいないし、優しい人が多い。だけど、その優しさが一番女性を傷つけていく。
格好良いことを言うつもりはなく、私の中にもそういうところがある…と言うより、そう言うところしかないと思い至ると、この作品はとても居心地が悪くなってしまう。
たぶん本作が、特に女性受けが良いのは、そう言う男の弱さをじれったく感じる女性がとかく日本には多いということなのかもしれない。だからこそ共感を持って本作は受け入れられ、一方の男性陣に至っては、自分自身の弱さを真っ正面から出されることとなり、ますます居心地が悪くなってしまう。少なくとも私が受けた印象はそれだ。
だから、この作品を傑作とは言いたくないし、観ているのがかなり苦痛とも言えるのだが、だけどだからこそ本作は日本映画史に輝く存在足り得るのだろう。
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