[コメント] ネバーセイ・ネバーアゲイン(1983/米)
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既にこの時点で007のシリーズは3代目ボンドのムーアに移っているが(同年に『007 オクトパシー』が公開されている)、コネリーが意地を見せた外伝作品で、シリーズ第4作である『007 サンダーボール作戦』(1965)のハリウッド・リメイク。題はコネリーが奥さんに「もうボンドはやれないかもしれない」と語ったところ、「二度とそんなことを言わないで(Never say never again)」と言われたことからだとか。版権の都合で『007』のタイトルが付けられず、オープニングの有名なシーンも使用できなかったが、やはり007は007。なんと20年ぶりのリメイクにもかかわらず、その時よりシェイプアップしてるのが驚き(髪はそうはいかなかったようで、鬘を使用してるが)。
本作のレビューは前々から考えていたのだが(007シリーズのレビューはこれで新作出るまでは最後となる)、観たのが随分昔だったし、記憶もあやふや(だって覚えてるのが女医さんの前にトランク開けたらそこに美食の数々が…だけだった)。それでレンタルしてようやく拝見。
一見して、決して悪くない作品だと思えた。むしろやっぱりボンドはコネリーが合うな。と言うのが実感。そりゃ昔ほどの身体のキレは無いけど、円熟味を増した演技はなんか妙に嬉しかったりする。ハリウッド・リメイクと言うだけに、はるかに派手に、しかしやや冗長に作られているが、アクション俳優としてまだまだ充分現役だった(痛々しいと言う意見もあるけど、そんなに悪くは思えなかったぞ)。笑える要素もちゃんと演出してるし。
ところで、本作は本当にコネリーの望みで作られたのか?と考えるとなかなか感慨深いものがある。言うまでもなくコネリーはこのボンド役でブレイクした役者だが、後々までボンドに呪縛されたままだった。生涯の当たり役に出会ってしまったために後の役者人生を棒に振ってしまった役者は枚挙に暇がないほどで(有名なのだと『シェーン』(1953)のアラン=ラッドとか)、コネリーもそれから逃れるのに相当苦労したのだが、それを越えて新境地に至ることが出来たからこそ出来たこと。再びボンドを演じたからと言っても、もうボンドに呪縛されることはない。その境地に至ったからこその役作りだったのだと思う。それにこれがコネリーにとっての卒業という意味合いもあったかも知れない。事実コネリーの出演作を見ると、この作品の後、傑作を次々にものにしてる(老け役をきちんと出来るようになったしね)。
そう言うことで、役者としてのコネリーの成長ぶりを感じさせられた作品だった。 そうそう。ここに出てきた英諜報部員、アトキンソンなんだね。ブレイク前にもちゃんとらしさがあるよ。
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