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[コメント] エド・ゲイン(2000/米)

映画の中でも発音されてましたが、実際には「エド・ギーン」と発音するそうです。 2003年2月10日ビデオ鑑賞
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







神戸連続児童殺傷事件の犯人、少年Aこと、酒鬼薔薇聖斗は「我が闘争」と『ネバー・エンディング・ストーリー』愛読し、様々な書物から知識を吸収していた。他にも、映画では『13日の金曜日』シリーズが好きだったという。この事件に関しては、多くの本が出版されている。どうでもいいのだが、劇中にエド・ゲインがナチスの本を読んでいるのを観て、彼を思い出した。さらに、劇中でエドが探偵雑誌を読んでいたが、この手の人物はあの様な雑誌から知識を吸収(証拠の隠滅方法等)したり、殺人の妄想にふける事が多いそうだ。(「FBI心理分析官」より)

エド・ゲインの行為はインターネットなどで検索すれば、すぐ調べる事ができるし、多くの本や映画では『サイコ』『悪魔のいけにえ』等がある。恐らく、映画好きな人なら、エド・ゲインという名前だけでも知っている人も多かろう。自分は、そういう犯罪者の心理面や、行為、そしてそこに至るまでの過程などに興味がある。誰でも、そういう人間になりうる危険性を備えているからかもしれないし、それが人間の本質の一面と思うからかもしれない。

どういう理由かは自分でもわからないが、こういう俗世間に言う異常心理犯罪者だとか猟奇殺人だとかには、なぜだか惹き付けられてしまう。だから、この映画が劇場公開されるのを待ちに待っていた(結局自分の県では公開されなかった)。

今日観るまで、自分はずっと楽しみにしていた。自分の一番大好きな「映画」という総合芸術の形で、自分が興味ある物を描き出してくれるのだ。しかも、史実に沿って、さらに世界中の芸術家を犯罪者というのにも関わらず、今なお魅了しつづけるエド・ゲインをだ。

観る前から大体の話は知っていたし、やった事も大体知っていたので、骨盤(?)スープ皿や、骨骨スタンド等は別に驚かなかった。しかし、役者の演技が凄いせいか、ずっと異様な雰囲気が漂っていたのは凄かったし、あの狂気の舞い(?)も『悪魔のいけにえ』で似たような物を観たにも関わらず、やはり少し新鮮(?)であった。そういう、描写だとか小道具等は充分健闘しており、役者の演技も悪くない。むしろ良い方だろう。

問題は脚本か、監督の手腕にある。

事実は小説よりも奇なり、と言うものだ。この映画は、元ネタが古く、今まで色々な映画でモデルとされていた人物を描いていたものだ。しかし、古いと言っても、しつこいようだが、今もなお、世界中の芸術家を魅了しつづけている人物。こういう言い方は変だが、ある種の「神」であり、今風に言うと「これからもリスペクトされ続けるであろう」存在。ファンタジーの世界で言うと、「指輪物語」とでも言いましょうか。まさにそういう存在なのだ。そこまで、偉大(?)な人物を映画化するのだから、そりゃ面白くないわけが無い。

しかし、残念な事に見事に面白くない。実に残念だ。どれだけ史実に忠実にしても、母親の幻影が現る描写はどこか違和感があるし、わざわざ安っぽい合成技術を使う始末。さらに、脚本も、描く事に忠実になりすぎて、別の事を描く事を忘れている。自分が思うに、この映画は観客に「エド・ゲインってこういう人物なんだよ」と見せるべきだと思う。しかし、本作は「エド・ゲインは、こうなって、こうなって、こうなったから殺しちゃったんだよ」と、説明している感がある。

お陰で焦点がぼやけてしまっている気がする。本当に残念。

観客が全て理解できるわけはない。それを理解させようとする必要なはないと思う。人の考えてる事を理解する事なんて、難しくて、恐らく不可能に近い行為。だったら見せればいいじゃないですか。

と、考えたら、今まで映画化されなかった理由が分かる気もする。「見せる」ばかりばかりだと、本当に淡々とやりすぎてダラダラになりそうだし(苦笑)

所で、ラストで逮捕されるシーンで、保安官が「son of bitch」と言っていましたが、よくエドは怒らなかったなぁ。

一応当時の映像も見れたし、3点つけてもいいのだが、あまりの失望に2点。さすがに1点にはできない。

(評価:★2)

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