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[コメント] リリイ・シュシュのすべて(2001/日)

[ 感覚の再現 ] にやられました。
satrid

[ 感覚の再現 ]

岩井俊二の批評をするライターが、岩井俊二という人を「感覚の再現」がめちゃめちゃうまいと述べていた。

この表現は私にぐっときた。私が常々感じていた感を一言で言い表してくれた。 私は好きな映画はとことん何度も見るほうです。 映画は幅広く見てるし見てるものは深める傾向があります。

私の中の岩井俊二ベストは FLIDEDRAGONFISH 打ち上げ花火 上から見るか下から見るか

そして今回の「リリイシュシュ」

他の作品は見れなくてもこの3つだけは30回ぐらい見たい。

FLIDEDRAGONはスタイリッシュで当時にしてはめずらしい撮影技法を使っていて。普通にとるのではなくいろいろな方法からとることによって、表現をめちゃめちゃかっこよくするのはもちろんのこと、あの深夜にぐっとひきこまれる感覚、現実と非現実の合間の表現をすごくうまくしていて、なんといってもCharaの「BreakDheseChain」。この曲に惹かれて作った作品というだけあって、もうめちゃめちゃよかった。

打ち上げ花火は問答無用。あの小学生のたわいもないやりとりでよくぞここまで伝えてくれた。そう子供ってのはどうでもいいの。くだらないの。でも一生懸命なの。それでいて今あの頃を思い出すとあんなにくだらないことでも黄色いフイルム越しに見たような気持ちになるの。ぞくぞくするほど思い出した。

「リリイシュシュ」

これは痛かった。すごく痛かった。 中学生、高校生の頃、ほんとにこういうイジメはあった。でも気づく人は気づかないで気づかない人は気づかない。今ネットにはまる人は多分、私の主観だけど、「気づく人」だと思う。いろいろな世間の痛い所、友達どうしのいじめを見てみないフリをしなきゃいけないところ。かわいい先生ほどかわいいふりして痛い所を見てくれなかったり、田舎なのになんでこんなハードボイルド、でも親の管轄下だから逃げられず。

今の社会人になってからもずいぶん大変だけど、あの頃だってずいぶん大変だったよな、と思い出した。 あの狭い世の中しか知らないで一喜一憂していた時期に比べれば今のほうがずいぶんシアワセかもしれない。

私もいい意味での[感覚の再現]ができる文章を書ける人になりたいと思う。 一人でも多くの人が少し幸せになるといいなと。

(評価:★5)

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