[コメント] 月はどっちに出ている(1993/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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在日の人々の交流を主軸に、逞しく生活していく下町の人々を描いた好作。一時期在日の人の地位向上を求め、日本人が色々な活動を行っていて、実は知り合いの在日韓国人の関係で私もそういう活動に関わっていたのだが(厳密に言えば今も関わってはいる)、そう言った人達との交流を通してよく分かったのは、結局人間は人間だという単純な事実。いい人もいれば、どうしようもない人もいる。映画論で激論を戦わせた人もいたが、むしろ在日という身分を上手く使っていた人もいて、大変よくモテ、なんか羨ましく感じた自分もいた。
本作を観ていたら、そう言うことを思い出して(…つーか、これを観た時がリアルタイムで活動していた時期だったんだけど)。なんかとても楽しい気分にさせられる。「よく分かってるな」と思いつつ、物語の楽しさそのもので観られた。
ちょっと特殊な場所で、小狡く逞しく生きる等身大の人間の事が描かれているのがなんとも小気味が良い。それに「俺は北も南も関係ない」と言い放つ姜が、実は結構色々なこだわりを隠しているとか、その中でちゃんと誇りを持っているのがしっかり描かれる辺り、人間の心の複雑さってものをよく表していた。
在日とか何とか、関係なく良いとか想いながらも、やっぱり主人公が在日の人だからこそ成り立つ作品。その微妙な雰囲気を出してくれたのが大変小気味良い。
在日を扱った作品としては、他にも近年になって『GO』もあるけど、テーマとしてはこっちの方が好み。
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