[コメント] 殺し屋1(2001/日=香港=韓国)
映画を見終った人むけのレビューです。
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舞い込んだ仕事は何でもこなし、現代では珍しい職人監督と言われる三池監督。その範囲はとても広く、文芸からホラー、コメディ、アクションと、それこそ受ける要素があれば何でも作ってしまう。かと言って無個性な監督か?と言われるとそうでもなく、どんな作品にもちゃんとこの監督ならではの個性的な描写を盛り込むことが出来るので、なかなか重宝されている人でもある(製作費の多寡があんまり作風に関係しないというのも個性の一つ?)。
そしてここで作られたものは、監督の原点とも言うべきバイオレンスアクション。しかも半端のない暴力の世界だった。三池監督が最も得意とする分野と言う事もあって、質はかなり高い。
…しかし、元の話がとてもひどいこともあって(物語的にと言うのではなく、残酷描写が激しすぎるので)、それをストレートに映像化してしまったもんだから、もの凄いものができてしまった。これじゃ人間の物語って言うより全員化け物だ。主要人物にまともな奴が誰一人おらず、おかしな奴らが全員おかしいまま戦ってるので、ほとんど特撮怪獣もの…まあこの後で実際三池監督は「ウルトラマンマックス」というストレート(?)なヒーロー作品をテレビで作ってる訳だが、これを作った経験がうまく活かされていたんだろう。人間サイズで、普通の意味での特撮を使わなくても特撮作品的なものが作れると言うことを見事に示してくれた。
原作もそうだが、本作では浅野忠信がとにかくキャラ立ちが凄い。自分の体を傷付ける事に快感を覚えるマゾヒスティックな嗜好を持ちつつ、人間をそれこそ切り刻んでいくアンビバレンツ描写を楽しんで行う辺り、狂気性を見事に演じきっていた(なんでも三池監督は原作ではなく、浅野っぽさを強調することにしたとか)。
概ねの人間にはまずお勧めできるような作品ではないものの、邦画はここまでやっても良かったのか。という可能性を感じさせてくれるので、観ておくに越したことは無い作品だ。
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