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[コメント] 劇場版 カードキャプターさくら 封印されたカード(2000/日)

「臣下の者が‥」「私も…」 劇中劇、仮面舞踏会の一節

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ‥お互いの身分バレバレじゃん。 しかし打ち明けられて驚く。「ダメ‥」

 これが作品全体を占めている。

 告白され、自分も同じ気持ちを持っている。 恋愛物としてはすでに終わっている。 推理物なら「犯人はお前だ」と言い終わった状態から物語が始まっている。

 しかし、それで物語に成り得るのが乙女の心。

 感じる周囲の作意。あえて明かさない行為の意味。 すべてが自分の為の行為である世界。ここはそう描かれている。

 それに満足できない。気付いてはいるが応えられない。

 告白され、ただOKでは納得できない。 ただ受け入れるだけでは、確信できない。

 恋愛とは追わせてなんぼ、焦らしてなんぼ。自分から追っては絶対ダメ!

 なんて価値観も、世間にはあるようですが。  それは、自分から好意を見せたら、安心して相手が離れてしまうかもしれない不安。 男心は「オトしたら次へ」ですもの。やはり弱い心の表れよね。

 しかし、自分から追って、振り向かせてみせるのも女の魅力。 でも、それを発揮する機会を永遠に失ってしまっているんですよね。 好きだと言ってくれている相手を後から好きになった場合は。

 「一番大切な思い」

 大切なのは依存心から来る理由、能動的な理由ではない。 それに縋り安住してしまう決断は、ちょっとプライドが傷つく。

 「一番大切な思い」を消してしまう事

 それは、自分の魅力を確かめること、追って再び追わせる覚悟を決めること。  例え相手が自分のことを好きでもないとしても変わらない気持ちなのか。 「好きだと言ってくれる人」が好きなのか、「他の誰でもないこの人」が好きなのか。

 故に小狼は、カードと引き替えに「思い」は失った。と解釈するのが正当であると 考える。  その上で、自ら「先に」告白し、相手を振り向かせた。その関係を作りたかった。

 この映画はそういうお話。  自信を持って好意を示せる勇気を持つまでの。

 ‥。  その割に、小狼の即答のOK。矛盾するように思えます?  けど、現実問題、相手の記憶操作など出来ない。 所詮自分の心の整理だけな事も表現されていて、ここはその方がリアル。  ううん。自分を好きじゃないかもしれない人に、自分から告白したという事実だけ。 それに価する行動がとれたってだけで十分なんです。きっと。

■雑記■

 意図的かちょっと特定はし難いのだけれど、 平穏な日常の描写を、不調和で不安定なリズムで描いているように感じた。  平穏な日常を平穏なるが故に不安な状況として描けるのには感心…というより不思議な感覚。

 不安と興奮であるべきであるような対決シーンでは、逆にリズミカルで安定した描写。 クライマックスから予定調和を感じ現実そうなる課程と対比して…、上手いなあ‥。  これ以上言葉見つかりません。

(評価:★2)

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