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[コメント] パニック・ルーム(2002/米)

パニックルームの制限(ルール)に則った頭脳戦、心理戦はもっとおもしろくできそうなのに、設定の妙を生かしきれなかったようで残念。
らいてふ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ジョディ・フォスターの演技や、ところどころに見られるフィンチャー色濃いカメラワークに、ハッとさせられるところもあるけど、犯人グループの頭の悪さと、その場しのぎの話の展開にちょっとガッカリ。娘の病気も突然振ってわいたように出てくるのでもったいない。持病なのだから平和な出だしのシーンで、もうすこし丁寧な伏線を張れなかったのだろうか。特殊な腕時計も、ちょっとわかりにくい。

<<サラの病気と腕時計型医療器具>> 映画ではあまり説明されていなかったサラの病気は、おそらく「インスリン依存性糖尿病(1型糖尿病)」のようだ。これは「生活習慣病」と言われる一般的な「非インスリン依存性糖尿病(2型糖尿病)」とは違い、若くしてかかる自己免疫性疾患。膵臓でインスリンをつくる細胞が機能しなくなるために高血糖となってしまうもので、体が糖を利用して適正な血糖値を保つためには、インスリン注射を続けなければならない。食事量と血糖の動き方によって決められたインスリン(映画では、複数入っていた透明な細い注射器)を毎日注射するので、インスリンを打ったまま食事をしないでいると血糖が下がりすぎてしまい低血糖症状(めまい、脱力、動悸、冷や汗、けいれん、失神…極端な場合死亡)に陥ってしまう。この場合、糖分のある物を口にすればたちどころによくなるので、普通はブドウ糖の粉末や角砂糖などを携帯して備える。低血糖症状にはグルカゴンを皮下注射してもよい(映画では、オレンジ色の容器に入った太い注射器)。低血糖が軽快すると、普段と同じように行動できる。また腕時計のように見えたのは、腕時計型の無痛血糖測定器。2001年の3月にアメリカでシグナス社製GlucowatchがFDAの認可を受けたばかりで、日本では未認可未発売(2002年5月現在)。皮膚表面に微弱な電流を流して血糖を20分ごとに測定し、危険な値になると警報を発するため、意識を失う前に対処することができる。こういうなじみのうすい病気や医療器具の意味は、さりげなく最初のほうで紹介しておいたほうが、ドキドキ感がアップするのに、なんかもったいない。

もったいないと言えば、(この映画のせいでは全然ないのだが)この演技を『ハンニバル』で見せてほしかった。ああ、これももったいない。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ゆーこ and One thing[*] あさのしんじ[*]

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