[コメント] ファム・ファタール(2002/仏)
デ・パルマの「悪女はよう知らんが、女のことなら知っとるで」とうそぶく声が聞こえてくる。観客が男か女かで大きく評価が分かれるんだろうなー、こりゃ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
前評判から、ストーリーに入れ込んで観ているとなんか変な目に合わされるということは耳に入っていたので、45°くらいハスに構えて観る。が、観進むうちに「どこがファム・ファタールじゃ、ボケ」とイライラしてきた。彼女の「悪女然」とした笑みがやたらと安っぽい。ファム・ファタールの称号を与えるからにはやはり「稀代の美女で悪女」であってほしいのに、これじゃあクラスに一人はいるタイプやんけ、と気が抜けてしまう(女の魅力が不足気味だと、相対的に男のバカ度も上がるしさ)。
だから、夢オチが判明した瞬間、「おい、夢オチかよ!」と思うと同時に「だったらどうなの」とさらに15°くらい態度がハスになってしまった。
でも。
リリーを諭す彼女の嫌悪感に満ちた表情を見て、「ありゃ」と向き直る。
彼女のあの表情には、安易に死のうとするリリーへの嫌悪と、安易にそれに乗っかろうとする自分自身への嫌悪の両方があったから。
そしてその後、夢の中と現実との7年の経ちかたの違いが、彼女の表情をどんなに変えたかを見て思わず正座する。
ああ、このてらいのない、「人からどんな風に見られるか」を全然計算してない笑顔を見てくれ。
彼女こそ、ファム・ファタールだ。
この女のためになら、バンデラスは何のためらいもなく命を投げ出すだろう。
彼女こそ、本当のファム・ファタールだ。
すげえな、デ・パルマ!!!
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (2 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。