[コメント] カンパニー・マン(2002/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
現時点では未見だが、『ボーン・アイデンティティー』と似てるような似てないような・・・(ストーリーが)
本日初日の初回。『CUBE』を始めてビデオで見た時、その凄さに幼くも興奮し、そして何度思い出しても、「傑作」と「天才」という言葉しか出ないほどの鮮烈な感動を今でもこの胸に秘めている。ある日劇場でこの作品のチラシを見たとき、そのチラシデザインに『CUBE』の映像がオーバーラップした。
と、思っていたら「『CUBE』の異常天才が仕掛ける〜」というキャッチコピーが!「これはぁぁぁぁぁぁ!!」と思い俺はその場でチラシを手にとり、時が止まった。
ビンチェンゾ・ナタリ監督の最新作である。
ずっとこの日を待ち望んだ。最近には、大作系だとか、アカデミー賞候補!な作品ばかりで、嫌気がさしていただけに、もの凄い期待だった。
実際見てみても、充分期待通りの(いや、それ以上か?)の面白さだった。
悲しいかな、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』に『ギャング・オブ・ニューヨーク』『K−19』『マイノリティ・リポート』といった超大作(別段面白い映画がなかったような気がしたけど・・・)が公開している中、一番小さな劇場で公開。勿論のこと劇場には人が10人程度しか居ない。
なぜ?
クソ長い前置きは置いておいて、映画のこと・・・
面白かった。デビット・リンチが作りなおしたら、どうなるのか?とも思える内容で、話が進むに連れ複雑に入り組んでいく。
「自分が誰なのか?」すらも、現代の大衆社会の中で見失ってしまった、男が平凡な生活に刺激を求めるために産業スパイになり、どんどん不条理物語にはまり込んでいくという、お話はとっても面白かった。
ラストもきちんと話をまとめていていい。しかし・・・あのぉ・・・オチ読めたんですけど(苦笑)
結局自分は自分でもなく、偽りでもなかったわけだ。自分で自分の記憶をごまかし、記憶を作った。(創った?)
途中までは、この不条理テイストにノリノリで、ダークな映像と、退屈な大衆社会を浮き彫りにした世界観というか、ヴィジュアルセンスは最高だった。
しかし、あの変なポットみたいな形のエレベーターに乗って行った辺りからだんだん読めてきてしまった。そしてオチは結局どこかにありそうな感じの、普通のオチになってしまった。
確かにこの映画はオチを狙った映画ではないと思うが、この展開の映画で先が読めるのは致命傷ではないだろうか?
しかも、前作と違い、広々とした世界を描いているにも関わらず、映像(演出?)が閉鎖的な感じがするのも、いいのだがラストに結局アクションに頼ってしまったのが残念だし、オチで結局爽やかにハッピーエンドしちゃったのが、どこか拍子抜け。
そこの二つを、もっとひねればずっと面白い映画になれたと思うんだけどなぁ。
しかし、それでも充分面白い映画になっている。独特のヴィジュアルセンスに、退屈な大衆社会への痛烈な風刺、その中で自分(自意識?)を見失っていく姿・・・。
こういうのを哲学的というのか?うーん。面白いっす。
ハリウッドのS監督がトム・クルーズ主演のSFサスペンスの中で、光で遊んでいる間、この監督は見事なヴィジュアルセンスと絶妙な脚本でダークで緊迫感ある映画を演出した。
それと、この監督は俳優を強い光の前に立たすのが好きなのかなぁ?この映画でも何度かでたけど、『CUBE』のラストもそんな感じだったし。
ただ、チラシ(小さい奴)の裏に有名人のコメントが書いてあったけど、「映像がとにかくカッコイイ」なんて言ってる人居ましたけど・・・これってそういう映画なんでしょうか・・・?
どうでもいいんだけど、主人公がエレベーターに乗ったとき、何かを期待したのは俺だけでしょうか?(笑)
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