｢ドラえもん｣劇場版13作目｡

今回は地球人の環境汚染を阻止するために､地球洗い流し計画を企てる天空人をドラえもんたちが阻止しようとする展開｡

環境を破壊をテーマにし､地球人の代表としてしずかちゃんたちが天空人の世界での裁判にかけられ審判されたり､天空人の計画を知ったドラえもんたちとの革命戦争的な感じにストーリーを運ぶところなど､全体的に重みのある内容で､緊迫感という点では悪くはない｡

しかし､天空の世界を脱走してしずかちゃんたちと分断したドラえもんとのび太が､中盤､雷を受けて故障してしまったドラえもんを抱えたまま下界まで脱出する展開が本筋にほとんど絡まないくせに不必要に長く

序盤で伏線として登場させた槍ヶ岳で救出した同じ地上人の少年タガロもなにか重要な役割があるかと思ったら､天空人の素性をのび太に教えたら出番が無くなってしまい､何のための展開だったのかと肩透かしを食らった気がする｡

後半で大洪水に見舞われる地上人にてやっと直ったドラえもんにしても､同じく天空の世界から脱走した地上人の密猟者から大筋を聞いて､唐突にクライマックスでの活躍になるので

せっかく､扱い方によってはドラえもんたちを本筋に上手く導けるキャラを登場させたのに､おざなりで終わってしまいかなり盛り上がりに欠けている｡

脱出したのび太たちを道中で助けるホイといい終盤のクライマックスでのび太たちを助けるキー坊といい､TV版のSP回に登場したゲストキャラを一応回想シーンを含んでるとはいえ､既成事実の形で劇場版に登場させるのも今ひとつ｡

特にキー坊に関しては､密猟者の企みを阻止するために玉砕攻撃に出て壊れたドラえもんを直し､さらに天空人と地上人との蟠りを解くという､かなり重要な役割を担ってるだけに､せめて序盤で何か"あの時のキー坊である"ことを示す伏線というかシーンを作らないと､せっかく感動的なシーンを作っても感動はできないと思う｡

全体的にのび太たちが作った雲の王国のエピソードが本筋にあまり関係無い割に長く話を割いたり､本筋となる天空人の話に移行してもドラえもん側としずかちゃん側を完全分担して､その割に事態を動かす側のドラえもん側が中盤話から脱線してしまったりと

様々な要素を詰め込みすぎるあまり､ストーリー的な面白みという部分が弱くなってしまっている｡

地上人の環境破壊を悪っぽく描きながらも､被害に遭った側の天空人側を独りよがりに一方的に自分たちの価値観を地上人のドラえもん側に押し付ける悪人的にも描き､地上人(ドラえもん)VS天空人の構あで後半作ってるのに､勧善懲悪な決着を付けなかったのも微妙｡

似たような環境破壊や異星人同士の闘いというテーマなら､同じ｢ドラえもん｣の劇場版である『アニマル惑星(プラネット)』の方が勧善懲悪の娯楽も含みつつ､敵側の加害者でもあり被害者でもあるキャラクター構築の機微などバランスがよかった気がする｡